韓国映画「哭声/コクソン」人を惑わす悪魔の正体とは…
『チェイサー』『哀しき獣』のナ・ホンジン監督が、誰が犯人(悪魔)かわからない状態で、徐々に追い詰められる心理を丹念に捉えた作品です。
韓国国内では観客動員数687万人を超える大ヒットとなりました。
韓国映画の素晴らしいところはリアルなところ。
とにかく遠慮というものがなく、どこまでも恐怖を感じさせることについては素晴らしいものがあります。
数々の芸能人が称賛の声をあげて紹介されている映画です。
描写もリアルなので苦手な方はお勧めできません。
映画冒頭から恐怖に陥ります。
とあるのどかな村で起きた連続して起きた凄惨な事件。
裏では悪魔が糸を操っているのか・・・。
誰が悪魔なのか。
人々は騙され、翻弄されます。
悪魔に翻弄され騙された人の末路とは?
さっそく紹介していきましょう。
あらすじ
警察官ジョング(クァク・ドウォン)が妻と娘と暮らす平和な村に正体不明のよそ者(國村隼)が住み着いて以来、住人たちは彼のうわさをささやいていた。
やがて、村で突然村人が自分の家族を手にかける事件が発生する。
犯人には、濁った目と湿疹でただれた肌という共通点があり……。
キャスト
- ジョング(クァク・ドウォン)
- イルグァン(ファン・ジョンミン)
- 日本人(國村隼)
- ムミョン(チョン・ウヒ)
- ヒョジン(キム・ファニ)
- ソンボク(ソン・カングク)
- イサム(キム・ドユン)
警察官。
妻と娘らとともにつつましい生活を送る、ごく普通の男だったが、村で発生した凄惨な〇人事件を発端に、人知を超えた存在と向かい合うことになる。
祈祷師。強い霊能力を有する。
谷城にやってきた日本人。
番犬とともに、山中で孤独な生活を送る。村にやってきた目的や、どんな人物かは「言っても信じない」として一切自分の口から語ろうとせず、さらに彼の来訪から事件が頻発したことによって不審がられている。
事件の目撃者。
不思議な雰囲気を醸し出しており、名前以外は全て謎に包まれている。
ジョングの娘。
ぶっきらぼうだが心根は親思い。ジョングが謎の男と関わりを持ってから、体に異変が起こり始める。
ジョングの同僚。
ソンボクの甥で助祭。
日本で暮らしていたこともあり日本語の通訳が出来る。
冒頭部分ネタバレ
長閑な田舎にある村コクソン。
異常な事件が相次いで発生していました。
事件の加害者は共通して、目の色は濁り皮膚は湿疹で爛れ、明らかに異様な様子。
警察は専門家に検査を依頼。
検査結果は、キノコの毒による幻覚作用が原因と報告されました。
村の人たちは最近、山の中に住み着いている日本人と思われる他所者が怪しいと噂をします。
すべての異様な事件は、その男が村に来てから起こり始めたからたからです。
最初はただの噂だと気にも留めていなかった村の警察官ジョングも、事件の謎が深まるにつれて、日本人の存在が気になり始めます。
ある日、事件現場の見張り番についた時、ジョングの前に村では見かけたことのない若い女性から声をかけられました。
女性は、自分は事件の目撃者だというと事件についての詳細を語り出します・・・。
彼女はジョングに村の噂になっている日本人は悪霊だと。
考察その1【悪魔に目を付けられると・・・】
急に現れた山奥に住む不審な日本人。
村人ではないなぞの女。
異常な事件が続き、警察官のジョングは日本人の家を調べることに・・。
そこでみた儀式のような部屋。
村で起きる数々の事件を関連付けるもの。
その中でもジョングを驚かせたのは娘ヒョジンの靴・・・
娘の靴を見たジョングは理性を失い日本人に殴りかかり、謎の日本人に目をつけられてしまう。
村で起きる謎の事件も日本人が関連していると疑いつつ確信を得ることはできません。
おかしくなる娘の様子にジョングはなすすべもなく、祈祷師に頼ることに。
娘が様子がおかしくなったのは日本人を怒らせたからなのか?
考察その2【ゾンビはいったい・・・】
日々凶暴性をます娘ヒョジュン。
ジョングは娘を救いたい一心で日本人の家に再び仲間と向かいます。
するとそこにあらわれたのは・・・。
まるで死人のような眼をした怪力のゾンビのような男。
ある晩、お店で見かけた男と同じ服を着ていることから村人であることは間違いなさそう。
頭を鍬でなぐっても死ぬどころかさらに襲ってくる。
多くのゾンビ映画だと脳を損傷させれば、倒せたりしますが例外のようでした。
しかし、自ら発作のようなものを起こし、体を折り曲げ死んでいく様は無茶苦茶に怖いです。
これも悪魔の仕業なのでしょうか?
考察その3【祈祷師は味方なのか】
韓国では日本よりも祈祷師という存在は身近にあるようです。
しかも「高名な祈祷師」だと紹介されれば、村人ではない女性よりも信じてしまうものですよね。
しかも祈祷師は、想像もつかない場所からカラスの死体を見つけてしまう。
韓国では定期的に祈祷師が家に来て祈ることは日常のこと。
なので祈祷師は味方だと疑う余地がないというのは仕方ないと思います。
しかし、まさかあの祈祷師が・・・。
考察その4【人の心理とは】
心理戦と言われるものがあるぐらい人の心は動きやすい。
自分が何を信じればいいのか、迷いがあればあるほどわからなくなります。
ましてや自分の娘を救いたい気持ちが大きければ大きいほど迷いも大きくなる。
見たこともない女性か。
怪しい日本人か。
高名な祈祷師か。
この中にはいないかもしれない。
考え出すときりがない状況では判断を誤りがちになります。
そのうえ、タイミングが合ってしまえば、それが真実だと思ってしまうもの。
それを利用すれば人の心とはいとも簡単に操れてしまうのだと改めて感じました。
考察その5【悪魔は?】
「悪魔はいませんでした。」というオチではありません。
悪魔はいました。
最後の最後まで女か日本人か観ている方もどちらかわからなかったと思います。
そしてまさかの人物がグル。
終始、雨の曇天だったり、夜だったり暗い場面が多く、わかりにくいところもあったけれど最後にはっきりと悪魔は登場します。
もしかしたら、人の心が「そう見させた。」という解釈ができなくはないけれど、私ははっきりとコイツだと確信しました。
娘は狂気を抱えたまま、何も解決しない終わり方。
そこもまたホラー映画だったな。と思わざるをえません。
ツイートの感想はこちらです。
いや、こえぇよ!!!と言われています。
『哭声/コクソン』
いや、こえぇよ!!!
この作品に漂う何なのか全く分からない不気味さ、そして何考えてるか理解出来ない男の気持ち悪さ、奇々怪々な出来事に宗教的意味が含まれ何よりも”惑わし“こそ悪魔の証明といえる。人間の心に巣くう疑心、それがエサって事なのか…。ふぅ、もう一回観よっと pic.twitter.com/NyHIEbu06L
— 真琴 (@b0iQQLQWkDJ8q7T) November 2, 2021
物凄いものを見てしまった。と言われています。
物凄いものを見てしまった。
頭おかしくなるかと思った。キリスト教の知識があれば、より深く理解できたかも。結局人は自分の都合の良い様にしか物事をみない、という事か。
子役の演技が凄まじくトラウマにならないか心配になるレベル。ジョンミンさんの祈祷シーンに釘付け。 pic.twitter.com/unR7cXp7Dt
— ひかり (@hikari_rt) November 3, 2021
感想
とにかくなんでもありだった印象です。
この映画のキャッチコピーの「疑え。惑わされるな。」意味がようやく分かります。
悪魔はいったい誰だったのか?
そもそも悪魔などいなかった?
疑問が残る人もいたかもしれない映画でしたが、そこも狙いの一つでもあるようです。
キリストの聖書を参考に作られているため、人によっての解釈は様々で正解のようです。
観た人の解釈でしか答えはありません。
難しいと言われている映画でしたが、自分なりの解釈でみればいいのでしょうね。
娘のヒョジンを演じたキム・ファニの演技が素晴らしすぎました。
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