『残穢ーざんえー 住んではいけない部屋』あらすじと感想｜原作も紹介

残穢 ホラー映画
2021.09.25

心がずっしりと重くなるホラー映画「残穢 住んではいけない部屋」を紹介

作者と同様のプロフィールを持つ作家が、東京郊外のマンションで起こる怪異に迫っていく作品。

始まりから最後まで日本の映画独特のどこか重たい空気を思わせる雰囲気を漂わせます。

本作は原作のある映画ですが、実在の作家の平山夢明や福澤徹三が物語に登場するなどして、フィクションなのにドキュメンタリーを連想させる作劇となっています。

リアリティあふれるのがさらに恐怖を誘う本作品。

さっそく紹介していきましょう。



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『残穢 住んではいけない部屋』あらすじ

ざんえ

登場人物

  • 小松由美子「私」- 竹内結子
  • 久保亜紗美 – 橋本愛
  • 直人「私」の夫 – 滝藤賢一
  • 平岡芳明 – 佐々木蔵之介
  • 三澤徹夫 – 坂口健太郎
  • 田村さん – 山下容莉枝
  • 梶川氏 – 渋谷謙人
  • 山本くん – 成田凌
  • 河田氏 – 松林慎司
  • 飯田章一 – 橋本一郎

あらすじ

誰が、なぜ、事件を引き起こしたのか。

聞いてしまった奇妙な「音」は、連鎖する不可思議な事件への招待状だったのです。

小説家である「私」（竹内結子）のもとに、女子大生の久保さん（橋本愛）という読者から、1通の手紙が届きます。

「今住んでいる部屋で、奇妙な“音”がするんです」と書いてある手紙を見て 好奇心を抑えられず、調査を開始する「私」と久保。

すると、そのマンションの過去の住人たちが、引っ越し先で数々の事件を引き起こしていた事実が浮かび上がったのです。

彼らはなぜ、“音”のするその「部屋」ではなく、別々の「場所」で、不幸な末路をたどったのか。

「私」と久保さんは、作家の平岡芳明（佐々木蔵之介）、心霊マニアの青年・三澤徹夫（坂口健太郎）、そして「私」の夫・直人（滝藤賢一）らの協力を得て、ついに数十年の時を経た、壮大なる真相に辿り着きます。

だがそれは、新たなる事件の序章に過ぎなかった・・・。

すべての事件をつなぐ【穢れ】（けがれ）の正体とは？

予定調和を許さない驚愕のラストまで、目が離せない作品です。

『残穢 住んではいけない部屋』※ネタバレ注意

竹内結子

私は、「仏壇の先で、焼けた手がいくつも見える」といった内容のホラー小説を書いていました。

私は読者の投稿をもとに小説を書いているため、読者からの手紙を読むことは大事なことでした。

そんな手紙の中のひとつに、怪奇現象が書いているものがあり、なぜかその手紙が妙に気になり読み進めます。

それは、大学生活のために引っ越した部屋で昼夜問わず畳の上で箒で掃くような音が聞こえ、音のする方を見ると和服姿の女性が立っていたいうものでした。

私はこの内容に既視感を覚えて思い出します。

以前にも同じような内容の手紙が届き読んだ記憶があったからでした。

私は投稿者の久保が暮らしているのと同じマンションから、昔に貰った手紙を見つけますが、部屋番号を見ると、久保の部屋とは違いました

私は手紙を送ってきた久保の部屋を訪ねます。

久保と一緒に不動産屋に行き、前の住人の情報を聞くと、引っ越し先で自〇したと聞かされました。

前の住人の男は、引っ越した先でも赤ちゃんの泣き声に悩まされ続けて、ドアノブで首をくくったとのこと。

久保の部屋の怪奇現象は前の住人の怨念、と考えたいところでしたが和服の帯を引きずる音とは関係がありません。

久保の部屋で聞こえる音は前の住人とは無関係であることが分かります。

同じような現象があった部屋と久保の部屋は上下でも隣合わせでもなく、そのことは今までの経験上、ホラー現象からするとおかしなことだったのです。

私は土地そのものになにかが憑りついているのではないかと考えます。

私と久保は調査を続けることにしました。

近隣住民に聞き込みを開始しし、土地そのものに穢れがあるのであれば、代々その土地に不思議な出来事が起こっているはずだと考えたからです。

はなしをきいていくうちに、かつてゴミ屋敷の老人小井戸が孤独△したという話を聞きます。

小井戸は、隙間を異様に怖がり、部屋をゴミで埋め尽くし隙間を埋めていたそうです。

高野トシエという女性が、娘の結婚式帰りに着物を着たまま、首を吊って自△したということも、調査で分かります。

しかし高野も久保の部屋の前住人と同じく、赤ん坊の声、それも湧いて出るような声に悩み続けていたことも。

久保の家の怨念は、高野トシエだったと結論づけてとりあえず調査は終了です。

私は編集者との打ち合わせ中、久保の話をしました。

そこへ、どこか胡散臭くも頼もしい小説家の平岡が会話に入ってきました。

平岡は同じような話を千葉でも聞いたことがあると言います。

繋がりが大きく広がっていくというそんな根深い話はヤバイから手を引いた方がいいと言われますが、その言葉はさらに私の好奇心に火をつけてしまうのでした。

新しい家に引っ越した私に、中村という女性が次々と子供を産んでは〇したという乳児大量〇人鬼の話を平岡から聞かされます。

そしてその中村がかつて住んでいたのが、高野家が家を建てる前の土地だったのです。

全ては、中村がもたらした呪いだと解決したように見えましたが、さらに新しい情報が入ります。

吉兼家の友三郎という男が、高野家よりはるか昔にその土地に住み、精神を病み発狂して座敷牢に閉じ込められていたというものでした。

友三郎は、夜になると座敷牢のトイレから地下へと辿り、「焼け、〇せ」とささやいていたというのです。

友三郎の発狂理由は継母のミヨシが持ってきた女性の絵にあると思われました。

現在もその絵が寺に奉納されているとわかり、絵の情報を得ようと住職を訪ねましたが住職からはその絵はすでに焼けたと言われたのでした。

絵を持ってきたのは、吉兼家に嫁入りしたミヨシという女性です。

ミヨシの実家は北九州にある奥山家。

ミヨシの父・奥山は「焼け、〇せ」というささやきに気が狂い、何人もの使用人を〇してたことがわかります。

ささやき声の原因は、炭鉱の火事で△んだ労働者たちの怨念だったのです。

奥山は炭鉱を持つお金持ち。

しかし、些細な火の不始末で火事が起こってしまいます。

奥山はその火事を村に広げないようにするため、何人もの労働者を見捨て逃げ道を閉ざし労働者を火の海に閉じ込めたのです。

火事は無事に終息しましたが、出口が閉ざされ焼け△んだ労働者の呪いや穢れが始まってしまったのではないかと。

編集者は私が手掛けていた焼けた手の小説の投稿者が以前に奥山の話と似たような手紙を送ってきていたことを思い出します。

久保たちは、奥山家の跡地、廃屋になった真辺の家へと忍び込みます。

そこには、神や仏があり、奥の部屋には呪いの道具が敷き詰められていました。

真辺は奥山が残した呪いで苦しみ、神や仏に縋るも祓われず、最後は呪いにすがりましたが、どうすることもできませんでした。

奥山の呪いはこの話を聞いても話しても呪われるという怪談として残り続けていました。

そしてその呪いは、こともあろうか編集者にも襲いかかってしまうのです。

編集者は記事が上がってくるのを待っている間、ふとキーボードに灰がついていることに気付きます。

その灰から恐怖を感じ取った編集者が何度拭っても消えることはなく、さらには目の前に真っ黒に焦げた男が・・・。

その真っ黒な男に編集者は身体を掴まれ、闇の中へと引きずり込まれてしまうのでした。

そして久保にも私にも、身の回りでおかしな現象が起こり始めます。

私も久保も恐ろしくなり自らの身を守るために調査を中断。

住職は、友三郎を狂わせたあの美人画を箱に大事にしまい持っていました。

その絵はやがて口元は歪み、こちらに笑いかけてきたのです・・・。

ツイッターの感想

「鑑賞注意 」という感想。

「こわすぎて泣いちゃった」と感想。

『残穢 住んではいけない部屋』原作について

原作は小野不由美によるものです。

単行本は、2012年7月20日に新潮社より書き下ろしで刊行され、文庫版は、2015年8月1日に新潮文庫より刊行されました。

装丁は、単行本は祖父江慎と鯉沼恵一によるものです。

原作「残穢（ざんえ）」は評価も高く2012年～2013年に

  • 2012年、「ダ・ヴィンチ BOOK OF THE YEAR 2012」小説ランキング第8位
  • 「ミステリが読みたい! 2013年版」第10位
  • 2013年第26回山本周五郎賞を受賞
  • 『ダ・ヴィンチ』の「怪談オブザイヤー」で第1位

これらの数々の賞を受賞しています。

原作の評価を受け2016年1月より映画化作品『残穢 -住んではいけない部屋-』が公開されました。

感想

とにかくリアリティさがすごいです。

普通は自分の住むアパートの前の住人が今どんな生活をしているかなんて知ることはありません。

過去をさかのぼればだんだんとおぞましくなる事実の数々に背筋が凍ります。

調べれても調べても、どこまでいっても解決策は見つからない。

住人どころかその土地にまつわる数々の真実には時代背景も重なり恐怖しかありません。

一番こわいのは人間なのか・・・。

そして衝撃の結末には驚きました。

具現化したなにかでてくるわけでもなく画面の色味だけで恐怖が引き立つ日本映画のホラー作品の中でもトップレベルだと思いました。

見終わった後もあとをひきずる映画ですが、ホラー好きなら見ておくべき作品としておすすめです。

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