韓国映画「少女は悪魔を待ちわびて」ネタバレと感想|父を〇された少女の復讐

少女は悪魔を待ちわびて サスペンス映画

韓国映画「少女は悪魔を待ちわびて」を紹介

正直にいうと、あまり期待せずに見た映画でした。

なのに序盤から引き込まれ、最後まであっという間に終わってしまったぐらいよかったです。

ストーリー展開も犯人の背景も大げさすぎず、無駄な同情をあおることもなくただただ悪い奴だったのもよかった。

悪魔のような男は悪魔でしかないのですから。

そんな悪魔に父親を〇された少女の復讐劇がこの映画のテーマです。

2016年に公開した映画で、あまり日本では話題にはならなかったように思います。

しかし、主演のジム・ウンギョン、新人監督モ・ホンジンはその年の韓国の映画賞「大鐘賞」にノミネートされているほど称賛されていたようです。

残念ながら受賞には至らなかったですが、ノミネートされたことも納得。

さっそく紹介していきましょう。

少女は悪魔を待ちわびて



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あらすじ

15年前の冬、警察官だったヒジュの父親が何者かに〇害されてしまいます。

複数の〇人容疑がかかっていた容疑者は、法廷で証拠不十分としてヒジュの父親〇しの容疑は問われず、1件のみの〇人容疑で15年間服役することに。

唯一の家族である父親を奪われ、一人ぼっちになったヒジュは復讐を誓い、父親の同僚たちの助けで警察署でアルバイトをしながらその時を待ちわびていました。

そしてついに犯人ギボム(キム・ソンオ)が出所する日を迎えます。

しかし、ヒジュが計画を実行しようとした矢先に類似の連続〇人事件が発生。

予期せぬ新たな真実が発覚します・・・。

登場人物

  • ナム・ヒジュ(シム・ウンギョン)
  • 当時5歳で父親を何者かに〇された少女。

  • チョ・デヨン刑事(ユン・ジェムン)
  • ヒジュの父親の部下。

  • キム・ギボム(キム・ソンオ)
  • 〇人鬼。

  • チョン・ミンス(オ・テギョン)
  • ギボムの幼馴染。

ネタバレ

ソウル裁判所。

7人の〇人罪で起訴されたギボム。

しかし、6人の〇人について状況証拠はあるものの確固たる証拠が見つからず不起訴となり、1件の〇人罪のみ証言と証拠の一致が認められ、15年の懲役が言い渡されました。
裁判所
その判決を聞いた被害者遺族はギボムの犯行を確信していたこともあり、判決の不当性に泣き崩れます。

チョ・デヨン刑事は「出所したらまた法廷に立たせてやる。」と叫びます。

それを横目にギボムは不敵な笑みを浮かべるだけでした。

父親を〇された5歳の女の子ヒジュは涙を流しながらその様子をじっと見つめていました。

3か月前。

ヒジュは半地下のアパートの薄暗い部屋で父の帰りを待っていました。

ヒジュには母はいません。

借金を残し、行方不明になってしまったのです。

イルヒは刑事でしたが、借金の支払いに追われ貧乏な生活を送っていましたが父娘は愛情たっぷりで幸せな日々でした。
家族団らん
遅くに帰宅したイルヒがタクシーを降りようとしたとき、入れ替わりにフードを被った男がタクシーに乗り込みます。

その一瞬のすきに男はイルヒの首を刺したのです。

イルヒは大量の血を流しながら、ヒジュの眠る部屋へと這いながら行き、娘の姿を見ながら息絶えていきました。

翌朝、イルヒの誕生日を祝おうと部下のデヨンがケーキを手に家に到着すると道路から家まで転々と大量の血が流れているのを見つけます。

恐る恐る血の跡を追いながらイルヒの部屋の扉を開けます。

扉を開け、デヨンが見た光景はヒジュが血を流し△んでいるイルヒの頬を撫でている姿でした。

イルヒは当時ギボムを連続〇人鬼として疑い、ギボムのことを調べていました。

ギボムはそのことでイルヒを疎ましく思っていたのです。

ギボムがイルヒ〇害の犯人であることは誰の目から見てもわかりましたが、確固たる証拠がなく裁判では認められませんでした。

15年が経ち、刑期を終えたギボムが出所します。

ヒジュは20歳になり、デヨンや刑事課の人たちに支えられなんとか生活し、今も変わらずあのアパートで暮らしていました。

ヒジュは刑事たちの計らいで警察署の清掃アルバイトをしていて、今日も元気に挨拶をしながら警察署の中へ入っていきます。

父親が〇されたショックで精神的な障害を持っているかのように見えました。

しかし、それは表向きのヒジュの顔で実はギボムへの復讐心に燃え、アパートのじゅうたんの下にはギボムの捜査資料がぎっしりと並べられ、そして暗〇術も身に着け今も鍛錬を続けています。

壁にはたくさんの黄色の付箋が貼られていて、そこにはニーチェの言葉がつづられていました。
付箋

ギボムは出所し、モーテルにチェックインすると売春婦を部屋に呼び、行為に及びます。

最中、ギボムが唯一有罪になった〇人「チョン・ユンジン」のことを思い出し、〇人の衝動を抑えきれず売春婦に暴力をふるいます。

チョン・ユンジンはギボムの恋人でもありました。

ユンジンの浮気を知ったギボムは怒りのあまりユンジンの腕を折り、苦しむユンジンの顔にビニール袋をかぶせ窒息△させたのでした。

ギボムは売春婦を〇すまでには至りません。

なぜなら、デヨン刑事が自分に尾行をつけているのを知っていたのです。

しかし、モーテルの警備員がナイフで首を切られて△亡し、仕事を終えた売春婦も車に乗り込むと背後から襲われ△んでしまいました。

ヒジュはギボムの周りで〇人事件を起こし、ギボムが疑われるようにしむけるつもりでしたが、これらの〇人はヒジュが起こしたものではなかったのです。

ヒジュは「誰が私の宿題をやってくれたのだろう。」と疑問に思います。

モーテル周辺からいくつもの遺体が発見され、ギボムが当然にように疑われますが、部屋から一歩の出ていないことが確認され、「俺の方が犯人を知りたい」というギボムはデヨン刑事に「15年前の密告者の名前を教えてくれよ。」と尋ねます。
刑事
デヨン刑事が教えるはずもなく、しかし確かに気になると思い始め、ギボムを唯一追い詰めた事件の情報提供者について再度調査を始めます。

裏にはもう一人の〇人鬼チョン・ミンスの存在がありました。

ヒジュは代わりに宿題をした誰かについて考え始めます。

ギボムの7件の〇人以外にも多くの〇人事件についても調べていくと、ある結論にたどり着きます。

「刺すのが好きなやつと、切るのが好きなやつ。二人いたのか。」と。

ギボムとミンスは同じ施設で育った幼馴染でした。

2人は幼いころから動物を〇すことを楽しんでいました。

大人になると対象は人間へと変わり、協力して〇害を繰り返していたのです。

しかし、ミンスは同じ施設で育ったユンジンを〇したことを恨み、ギボムを密告し、逮捕させたのでした。

それに気が付いたヒジュはペットショップへ行き、大型犬用の首輪を買いました。

デヨン刑事は密告者がミンスだったことを知ります。

その調査報告書を手に入れたギボムもミンスだったことを知り、復讐を考え始めます。

ミンスが務める肉屋へ行ったギボムは復讐をすることを告げ、立ち去りました。

夜になり、自宅に戻ったミンスは家の電気が付かないことに気が付きます。

床にはガラスの破片が床一面に敷き詰められており、それに気が付かなかったミンスは足の裏でガラスを踏み怪我をします。

ヒジュはミンスが転んで致命傷を追わなかったことを計算外だと思いますが、訓練した身軽さでミンスの〇害に成功します。

ヒジュはミンスの親指にタコがあるのを見て、ミンスを「切るのが好きなやつ」と確認すると、遺体をラップでくるみました。

モーテルに戻ったギボムは部屋の異変に気が付きます。
ギボム
ベッドの布団をめくるとミンスの遺体が。

油断したギボムは背後を女性に取られナイフで背中を刺されます。

「第3腰椎にナイフが刺さったから動けない。」と囁きます。

ミンスの遺体に首輪をかけ、その先をギボムにかけヒジュは姿を消しました。

通報を受けたデヨン刑事たちが現場へと到着するとギボムの姿はなく逃げられてしまいます。

逃走したギボムは15年前の事件を調べ、ヒジュにたどり着きました。

ギボムが逮捕されたと思い込んだヒジュは「自分へのご褒美。」の準備をします。

長年の夢だったロンドン交響楽団のチケットをとり、クローゼットからこの日のために用意しておいたドレスをだし、鏡の前で合わせてみます。

翌日、警察署のアルバイトに向かったヒジュはギボムが逮捕されていないことを知ります。

ギボムを逃がすという失態をおかし、落ち込むデヨン刑事にヒジュは「私も勇気出すから、頑張って。」と声を掛けます。

デヨン刑事はヒジュの意味深な言葉が気になりましたが、ヒジュの本当の気持ちには気がつきませんでした。

逃走したギボムを警察署に忍び込みヒジュの情報を集めます。

ギボム見かけたヒジュはもう一度ペットショップへ行き、大型犬用の首輪を買うと、ギボムは自宅を突き止め来るだろうと読み、家に戻ることにしました。

ヒジュは壁一面に貼られたニーチェの言葉の中から

「怪物と戦うものは自らも怪物にならないように気をつけねばならない。」と読み上げます。

家のチャイムが鳴り、ギボムが現れました。

ヒジュはギボムの背後に回り、襲い掛かり、父親を〇したのがギボムであることを確信します。
ヒジュ
ヒジュはギボムを誘い込むかのように森の中へ入っていきます。

ヒジュを追いかけギボムも森の中へ入っていきましたが、逃げ足の速いヒジュに中々追いつきません。

ヒジュは逃げるように見せかけてある場所にギボムを誘導。

途中でヒジュはデヨン刑事に電話をかけていました。

ギボムがヒジュに追いついた場所は大きな公園でした。

ヒジュはブランコに乗り、大きく揺らしながらギボムの到着を待っていました。
ブランコ
その光景を唖然と見つめるギボム。

ヒジュはブランコをこぎ続け「私たち、罰を受ける時間よ。」と言います。

ギボムには何のことだかわかりません。

「全部あなたが〇した。私も。」というと、ヒジュはパッとブランコから手を放しました。

ヒジュの首には首輪が巻かれ、鎖はブランコの上部にくくられています。

手を離したヒジュはブランコにぶら下がる形になったのです。

追いついた刑事たちがギボムを取り押さえ、急いでヒジュをブランコから降ろしましたがすでにヒジュは息を引き取っていました。

逮捕されたギボムは過去7件の〇人が立件され△刑が確定。

ヒジュの葬式を終えたデヨン刑事はヒジュの自宅へと向かいます。

壁に掛けられたドレスを見て涙を流すと、ふと絨毯がめくれていることに気が付きます。

絨毯をはがすとそこには大量のギボムの捜査資料が敷き詰められていたのです。
ヒジュ
それを見たデヨン刑事はヒジュのその思いの強さを知り、泣き崩れるのでした。

ツイッターの感想はこちらです。

メッセージは哲学的で奥が深い。と言われています。

壮絶で素晴らしい。と言われています。

感想まとめ

期待せずに観た映画の中ではトップクラスにはまった映画です。

もっといろんな人に知ってもらいたいと思うほど、感動しました。

長い年月、ひた隠してきた強い思い。

やっと成し遂げ、自分らしく好きなことをしようとしていたヒジュ。

それがダメだったと知ると、自分の命の代わりにギボムを陥れる潔さには感服でした。

見終わった後、ヒジュのオーケストラを見に行く夢をかなえてあげたかったと悲しくなったと同時に、復讐に燃えてしまったら行きつくとこまでいってしまうんだな。という思いになりました。

復讐に命を懸けるとはまさにこのこと。

そのくらいの強さがなければ簡単に復讐なんて言葉をつかっちゃいけないな。なんて。

この映画はホラーではないけれど、サスペンスとしてはむちゃくちゃう素晴らしかったです。

描写もリアルだったし、無理な設定もなかった。

誰にも自分の気持ちを見せず、頼らずやり遂げる。

ヒジュの一人きりの復讐劇はとてもよかったです。

映画にハッピーエンドを望む方ではないですが、ドレスを着て幸せになったヒジュもみてみたかったです。

現実は厳しいですね。(映画だけど)

気に入ってもらえたらうれしいです。

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