映画『トガニ~幼き瞳の告発』あらすじと考察
この映画では、暴行を行った教員らに対する判決があまりにも軽かったことや社会の関心の低さ、実刑を逃れた関係者がそのまま学校に復帰したことを描いています。
この事件を書いた原作を読んだ俳優のコン・ユが自ら映画化して出演したいと申し出て、映画化が決定。
公開後は観客動員数が466万人を突破。
社会的に影響力を持つ事件の加害者である校長の罪が問われることはありませんでした・・・。
しかし韓国国内で関係者に対する非難の声や再捜査を求める声、同様の事件に対する厳罰を求める声が上がりました。
映画の影響を受けて、韓国政府は障碍者の女性への虐待に対する罰則の厳罰化や、障碍者や13歳未満への虐待に対する公訴時効の撤廃を定めた『トガニ法』を制定されるほど韓国社会を動かした衝撃の実話です。
あらすじ
韓国のある聴覚障害者学校で実際に起こった性的虐待事件を映画化し、韓国社会に波紋を起こしたサスペンスドラマ。
郊外の学校に赴任した美術教師のイノは、寮の指導教員が女子生徒に体罰を加えている現場を目撃する。
やがて、その女子生徒が校長を含む複数の教員から性的虐待を受けていることを知ったイノは、その事実を告発し、子どもたちとともに法廷に立つ決意を固めるが……。
韓国では本作の公開で事件が広く知れわたり、当該の学校が閉鎖されるなど社会現象を巻き起こしました。
予告動画
キャスト紹介
- カン・イノ(コン・ユ)
- ソ・ユジン(チョン・ユミ)
- 校長兄弟(チャングァン)
- ヨンドゥ(キム・ヒョンス)
- ユリ(チョン・インソ)
- ミンス(ペク・スンファン)
妻に先立たれ、喘息を患う娘を母に託して恩師に紹介された聾学校に美術教師として赴任した教師。
学校の異様な惨状を目の当たりにし、生徒やユジンと共に虐待の加害者たちと戦おうとする。
地元の人権センターの幹事。勇ましい女性。
イノの赴任初日に彼の車と事故を起こしたことでイノと懇意になり、共に学校の不正と戦うことに。
生徒の暴行を加えていたのは兄。
霧で有名な郊外の田舎町・ムジン(霧津)の有力者。
地元警察や法曹関係者を買収しており、虐待の事実をもみ消している。
聴覚障害者学校の生徒。
幼い時の病気で聴覚を失う。
聴覚障害者学校の生徒。
知的障害もある。
聴覚障害者学校の生徒。
弟を事故で亡くしている。
映画考察※ネタバレ注意
学校への赴任の経緯とユジンとの出会い
美術講師のイノは恩師の紹介により、聴覚障害をもつ子供たちが通う学校に就職することになりました。
妻を病気で亡くし、病気の娘と妻の母のためにやっと見つけた仕事でしたが、作中の中で、イノは妻が健在だったころ、仕事をあまりせず、絵を書きながら放浪していたようです。
なので、もともと教師だったわけではなく、初めての教師として仕事をすることになったのが、この学校だったことになります。
しかも、ソウルで暮らすイノは就職のために義母と娘と離れ、この地にやってくることに。
この出会いが実話なのかどうかは定かではありませんが、初日に車が故障し、訪れた修理工場でユジンと出会います。
ユジンが人権団体で働く女性だったこともあり、この出会いは運命だったのでしょうか?
それで子供たちが救われる結果につながったのであれば、素敵な出会いだったと思います。
事件詳細
映画冒頭で、幼い少年が線路に立ち、命を落としてしまうシーンがあります。
あきらかに事故ではなく、少年の意思で線路に立っていたのですが、この事件により、世間が動くことはありませんでした。
少年の両親は障害があり、寝たきりの状態で、祖母が貧しい暮らしの中で介護をしている。
もちろん孫が亡くなったことは悲しいことではあったのですが、それどころではなかったとも言えます。
学校に赴任したイノが目にしたのは職員室で暴行を受ける少年の兄ミンスの姿。
しかし、その行為を止める教師はひとりもいません。
まだ学校のことがわからないイノも見ていることしかできませんでした。
しかし、イノがこの学校に不信感を抱くきっかけになったことには間違いありません。
放課後、学校に残っていたイノが耳にした少女の助けを求めるような声。
イノが扉の取っ手に手を掛けようとした瞬間に警備員に呼び止められます。
何も聞こえないという警備員に逆らってまで扉を開く勇気のなかったイノはのちにこのことを悔やむことになります。
校長は幼い少女に性的暴行を繰り返していたとも知らずに・・・。
教師による少年への性的暴行ものちに明らかになります。
そして、なにより大人のずるさがわかるのが、暴行を加えている生徒は親にも障害があったり、または孤児であったりと訴えるような両親がいない子供を手にかけていたことです。
事なかれ主義の役所
少女の告白を聞いたユジンは教育委員会へと足を運びます。
しかし、教育委員会は放課後におきたことは管轄ではないとユジンに役所へ行くように言うだけでした。
ユジンが役所に出向くと、役所は学校内で起きたことは教育委員会の管轄だととりあってくれません。
生徒が暴行を受けているという報告を受けてもなお、責任はこちらにはないと押し付けあう役所。
しかも、校長が町の有力者であったことにもその原因はあったようですが、そういう問題ではない事件だということに危機感を持たない役所に腹が立ちました。
韓国で起きた事件ですが、きっと日本でも同じではないかと思います。
生徒が危険な目に合っているという事実よりも、「責任」の押し付け合いが起きる。
警察も例外ではありません。
校長から賄賂を受け取っている警察は、生徒の身の安全より校長たちが罪に問われないためのアドバイスをするのです。
ユノの決意
やっと就いた職場を訴えることになったユノ。
病気の娘と年老いた義母に仕送りをすることができなくなりました。
恩師に呼びだされた料亭に入ると校長側の弁護士の姿が。
再就職への好条件と高額の現金が用意されていましたが、ユノはきっぱりと断ります。
裁判所へ現れた義母の「自分の娘のことを一番に考えろ。」と訴えにも「この子たちをいま見放したら、胸を張って娘の前に立てない。」
「僕は父親に戻れなくなる。」とはっきりと伝えました。
お金のために被害を受けた子供たちを見放した自分を許せることができるのか。
そんな自分が娘を親として育てることができるのか。
しごく真っ当な理由だと感じました。
自分の子供には困っている人を助ける人間になってほしい。
私利私欲のために観て見ぬふりをするような大人になってほしくない。
そのためには自分が自分を律する必要があるのです。
裁判を見届けた義母はユノに間接的にエールを送るように。
貧乏だから、見放してもいい理由にはなるはずがありません。
判決について
驚くことに判決は実刑ではありながらも、執行猶予がつくものでした。
解放された校長たちは何事もなかったかのように、もちろん反省などせず普通の生活に戻っていきます。
子供たちの味方であったはずの検事が、明らかな証拠を提出したユノたちを、自分の出世のために裏切ったからでもありました。
やりきれません。
弟を亡くし、親が示談を受け入れてしまったミンスは自分で行動を起こしてしまい、命を落とすことに。
それほどまでに子供たちの傷は大きなものであったのにもかかわらず、非情な判決でした。
ただでさえ、理不尽に扱われてきた子供たち。
されにこの仕打ちはひどすぎます。
両親に恵まれず大人の愛情をうける機会すら与えられなかった子供たちにさらに追い打ちをかける仕打ち。
裁判が終わり、日常に戻った子供たちが学校に戻ることなく、ユジンのもとで幸せそうに暮らしている姿だけが救いでした。
ユジンはまだ若い女性ですが、自分の幸せよりも子供たちを幸せにすることを考える素晴らしい女性だなと感じます。
しかし、金も権力ももつことはありません。
これがリアルな現代であることも否定はできないことが悲しい事実です。
制作秘話
監督の社会派作品で知られるファン・ドンヒョク監督が来日した際、「映画化しなければ、この事件は永遠に葬り去られると思った」と、本作に懸けた思いや撮影苦労話をインタビューで明かしてくれたことが記事として掲載されていました。
「原作はあまりにも苦しい内容で、読み切るのに一週間以上もかかりました。実話だけにショックを受けましたが、最初は正直、映画化する自信がなくて。でも、事件がつい5、6年前に起きたもので、未だに何の解決もされていないことを知り、映画化して、もう一回この事件を世に知らしめること自体に意義があると思いました」。
とはいえ、プレッシャーは相当のものだった。「何が何でも映画を成功させたかったです。そうしなければ、事件が闇に葬られるし、映画自体のレベルが低ければ、『あの監督はこの事件をただ商業的に利用したかっただけ』という批判を浴びることになります。すごいプレッシャーだったし、二度とは作れないと思います。映画が公開するまで、一生分のストレスを全部受けたんじゃないかと思ったくらいです。毎日、煙草を3箱吸い、体重も5、6kg減りました」。
moviewalkerpressより抜粋
この映画が成功し、たくさんの動員数を得て、多くの人がこの事件のことを知ることになり世論が動きます。
そして、この映画公開のちに、加害者のモデルとなった人物が実刑12年の判決を受けました。
12年が妥当かどうかはわかりません。
しかし、私としては短い印象です。
感想ツイート
「実話だけに胸糞ムービーワーストかもしれん」と言われています。
作品公開後、社会現象になりその影響で法改正まで行われた「トガニ」
そのモデルとなった加害者に公開後、実刑が下ったとか…
この映画が作られなかったら実刑も法改正もなかったんだろうと思うと鳥肌が立ってしまう
実話だけに胸糞ムービーワーストかもしれん…元気な時に観ることをおすすめします pic.twitter.com/L4q2rn2sQE— m (@_monporte) May 21, 2022
「ほんとに真剣に考えながら見るべき 」と言われています。
『トガニ 幼き瞳の告発』
衝撃的な映画やった。
胸糞すぎるけど、全員見るべき映画。この映画が無かったら犯人逮捕されてなかったって考えたら恐ろしすぎる。
ほんとに真剣に考えながら見るべき pic.twitter.com/3RPXHiP9u7— タルト@冬クリア (@tart_cosme) May 26, 2022
感想まとめ
とてもつらかったです。
日本でも障害を持つ方が妊娠したことで性的暴行事件が発覚したり、以前アメリカでは寝たきりの女性が妊娠した事件もありました。
私は男性ではないので、そういう心理は全く理解できません。
行為自体に理解できない子供などにそういう行為をすることが許せません。
ですが、社会ではこのような性的な事件への刑はいまなお軽いものも多くあります。
そして子供への虐待に至っては最悪の事態になっていても、重い処罰を受けている印象はなく、残念な気持ちになります。
原作が監督の目に留まり、このまま葬っていい事件ではないと素晴らしい映画にしてもらえたことが不幸中の幸いでした。
そして監督の熱意が多くの声となり、やっと実刑にこぎつけれたことがよかったです。
そのことを知り、この映画を観ると、救いはありますが、何も知らずにこの映画を観てしまえば心がやみに落ちてしまいそうです。
エンドロールで知ることはできるので、途中でやめることなく、観てもらえたらいいなと思います。
この事件は子供たちの勇気の元、多くの人の目に留まったことが素晴らしいです。
法改正に至ったことを誇りに思ってほしい。
いま、この子供たちは大人になっていると思いますが、幸せになっていてほしいなと思います。
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