小説『火の粉』雫井脩介著あらすじと考察と感想|ドラマ化情報も紹介

火の粉サスペンス小説

小説『火の粉』雫井脩介著あらすじと考察

2003年に刊行された小説「火の粉」

正義の元に下した判決「無罪」。

しかしそれは正しかったのか・・・。

長編小説ですが、あっという間に読み終えてしまう作品でした。

あらすじと考察、感想を紹介します。

作者「雫井脩介」は大学卒業後、出版社で編集者となり、また社会保険労務士事務所などでの勤務。

1999年、内流 悠人(ないる ゆうと)名義で応募した『栄光一途』で第4回新潮ミステリー倶楽部賞を受賞し作家デビューを果たします。

その後推理小説を中心に発表し、2004年に刊行した『犯人に告ぐ』は、2004年版「週刊文春ミステリーベスト10」で第1位に!

2005年版「このミステリーがすごい!」で第8位に選ばれ、第26回吉川英治文学新人賞の候補となりました。

ゆめちゃん
ゆめちゃん

こちらも気になる作品です!

雫井作品は初めてだったのですが、他の作品もチェックしたくなりました。

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あらすじ

火の粉

元裁判官・梶間勲の隣家に、二年前に無罪判決を言い渡した男・武内真吾が越してきた。

愛嬌ある笑顔、気の利いた贈り物、老人介護の手伝い・・・・・。

武内は溢れんばかりの善意で梶間家の人々の心を掴む。

しかし梶間家の周辺で次々と不可解な事件が起こり・・・・・。

最後まで読者の予想を裏切り続ける驚愕の犯罪小説!

(文庫本、裏表紙より)

登場人物

  • 梶間勲
  • 元裁判官。
    現在は大学で法律学の教鞭を取る。
    かつて武内に無罪判決を下した。

  • 梶間尋恵
  • 勲の妻。

  • 梶間雪見
  • 勲の息子・俊郎の妻。
    武内に不信感を抱くものの、家族からは孤立してしまう。

  • 梶間俊郎
  • 勲の息子、雪見の夫。
    弁護士を目指して勉強中。

  • 梶間まどか
  • 俊郎夫妻の子供(2歳)

  • 梶間曜子
  • 勲の母。
    寝たきりで尋恵の介助を必要とする。

  • 満喜子
  • 勲の姉。

  • 池本
  • 武内が無罪判決を受けた被害者の兄。

  • 池本杏子
  • 池本の妻

  • 野見山
  • 東京地検の検事。
    武内の犯行を主張したが、それを立証できなかった。

  • 武内真伍
  • 輸入家具・雑貨店の元経営者。
    的場一家〇害容疑で起訴されたものの確たる証拠がなく無罪判決を受けた過去を持つ。
    親の多額の遺産を受け継いでいる。

小説考察※ネタバレ注意

勲はなぜ「無罪判決」を下したのか

裁判
無罪判決を言い渡した時の勲は司法研修性に向かい「自分信じ、信念を貫くこと」と語ります。
過剰にヒートアップする報道にも惑わされず、事件の神髄を見極める力を持つことだと。
事件の争点となったのは武内の犯行の理由が「裏切られたから。」という理由で、夫婦と5歳の子供を〇害するということは普通ではありえないと考えてしまったことです。
そして、武内自身も背中に多数の打撲痕があり、自分で打ち付けたとは思えないくらいに力で殴られていたこと。
それらの理由から武内の自供そのものが警察による圧力によるものだったと決めつけてしまう要因に。
勲の中には昔からの因縁のある野見山が武内の犯行を確信していたことも「鼻を明かしてやりたい」という邪な気持ちを持ってしまう原因でになりました。

この事件を最後に母親の介護を理由に(実際は妻にまかせっきり)退官することを決めていた勲は勇退の意味も持っていました。
裁判官として、一番言い渡したくない判決「極刑」を自分が口にすることを恐れたためでもあります。
子供を含む一家惨〇事件が有罪となるには「〇刑」しか選択がありません。
なので勲にその選択が持てない場合「無罪」に持っていくための理由を探していたように感じました。

母親「曜子」が亡くなる

病室
武内が梶間家の隣家に引っ越してきて、間もなく曜子の介護を手伝うことに。
普通ならまだ隣に越してきただけの、よく知らない人に介護を手伝ってもらうことは考えられない。
しかし、そこには勲の妻、尋恵が寝たきりの義母をほぼ一人で介護し、夫の理解もなく、義母からも感謝されず・・・
と、追い詰められた状況だったことから、誰かに救いを求めなければやっていけない状況に追い込まれていた実情があります。
このあたりの尋恵の描写は同情せずにはいられないほどリアルに描かれていました。
そして間もなく、曜子は息を引き取ることになるのですが、、、、。
武内の巧妙さは尋恵一人が介護にあたっている場面ではなく、いつもしゃしゃり出てくる満喜子があたかも原因であるかのように工作したことです。
満喜子が作り、食べさせた雑炊をのどに詰まらせて〇亡するのですが、ただ残った雑炊をのどに押し込んだので、司法解剖でなにかがでるわけでもありません。
ましてや、寝たきり生活の老人のシ。
不審な部分が見当たらないのです。
武内は介護に苦しめられている尋恵を親切で救ったと考えているところに恐ろしさを感じました。

池本の取るべき行動

公園
武内の犯した事件の被害者である一家の兄夫婦「池本」は武内の犯行を確信し、偵察を続けていました。
そして雪見が武内を信用せず、武内が除外する人物だと考えていることを知ることになります。
雪見が梶間家から出て、1人になる時間。
娘の「まどか」と公園に行くときに接触してきます。
怪しまれないように甥っ子を連れていけば、公園にいても不自然ではなく、しかもママとして話しかけやすい。
しかし、あまりにオドオドした様子の杏子に雪見は不信感を募らせるだけで終わってしまいます。
無罪判決が出てしまっている限り、武内をもう弟夫婦の事件で裁くことは不可能。
池本夫妻は梶間家が同じようなことにならないように、警告をするつもりが、怒りに任せ動いているばかりに冷静な判断を見誤ってしまう。
池本は雪見に注意喚起を促しながら、野見山に近づくべきだったように感じました。
検事の野見山には近づきにくかったのでしょうか?
現時点で立件できる事件としては曜子のシしかありません。
野見山に相談すれば、違った展開があったのではないかな?と思わずにいられませんでした。

雪見が孤立した理由

母娘
武内の用意周到な細工により、どんどんと孤立していく雪見。
さらに池本から話を聞かされるようになると疑惑が確信に変わっていく。
そして家族を守りたい雪見は若さもあり、行動を見誤ってしまう。
しかも、粘着質な元カレが登場し、その場面に夫の俊郎が出くわし(武内の仕業)俊郎は雪見を敵視するように仕向けられる。
雪見は幼少期のつらい経験から、娘のまどかを同じような目に合わせたくないと育児に頑張りすぎている節がありました。
それを利用するかのような武内のやり口。
匿名で児童相談所へ通報したり、痣に見せかけたような青いインクをまどかの足につけ、わざと尋恵に見せたり・・・。
救いだったのは尋恵が多少の疑惑を雪見に向けたりもしましたが、基本的には雪見を信用していたことです。
雪見自身も尋恵のような母親に育てられてみたかったとの思いが描かれていたり、嫁姑の関係がよかったことは幸いでした。
武内の巧妙な所業に確たる証拠が見つからず、苦戦しますが、勲自身も疑惑を持ち始め協力体制ができたこともよかったです。

俊郎だけが疑問をもたなかった理由

車
父と同じ司法試験に合格すべく、勉強に励んでいた俊郎。
苦労せずに育った男はこんなにだめなのか、と思わずにはいられませんでした。
もしくは、純粋なのか・・・。
雪見が元カレと会っていたことが俊郎の中での決定打になってしまったにしても、そんな嫉妬している場合か?
しかも自分以外の全員が、武内に不信感を持ち始めている中、俊郎だけが、武内のようないい人が?と信じ続けることで最悪の結果を招くことに。
いくら試験勉強中とはいえ、自分のことしか考えていない。
雪見を追い出したにもかかわらず、まどかの世話は尋恵に任せている始末。
俊郎だけにはイライラが止まりませんでした。

結末について

別荘
私は司法のことには詳しくありませんが、勲の起こした事件により「有罪」判決が出たことは不思議でした。
警察もその場にいて惨状を目の当たりにしていたにもかかわらず、「〇ねー」と襲い掛かったことが決め手になる。
明確な〇意の元、相手に向かっていったことになり、「正当防衛」ではなく「過剰防衛」になってしまう。
巻末の参考文献の多さから推察しても現在の司法はそういうものなのでしょう。
家族を襲われ、目の前で動かない息子に火かき棒を振り上げる武内に向かって言葉を叫びながら襲い掛かった。
それが許されない社会。
勲の心情が描かれている部分で印象的だったのは「シね、と叫ばなければ体が動かなかっただろう。」でした。
ほんとにこういう場面に出くわした時、そのくらいの意気込みと気合を入れなければ立ち向かうのは難しいはず。
勲自身、司法側にいた人間であり、いざ自分が法廷に立たされる立場になって初めて犯罪者側の気持ちを考えることができたのでしょう。
裁判官とて、実際に犯罪を犯していない限りは、机上の空論でしか事件の想像ができていないことを暗に示唆しているように思いました。

感想ツイート引用

「ヒタヒタ忍び寄る恐ろしさ」と言われています。

「オセロの駒が一気にひっくり返るような感覚。」と言われています。

小説感想

文庫本565ページの稀に見る分厚さの小説でしたが、あっという間に読んでしまいました。
特別なトリックや巧妙な手口の詳細が描かれているわけではないのですが、読み進める手が止まりませんでした。
心理描写の描き方がうまくとても面白かったです。
私は人とのかかわりが得意ではありませんし、相手の行動を読み、考え、どうするべきか。と考えながら人の会話を注視する雪見の賢さを見習いたいと思いました。
祖母としての尋恵の振る舞いや温もりある言葉も素敵でした。
それに引き換え・・・男ども。
家庭を守る立場としてはあまりに単純で、世間体や常識にとらわれ、つまらない考えしか持っていない。
社会に出るということは見栄の張り合いではあるのかもしれませんが、それ以上に大切なことがたくさんあるのに。
ましてや弁護士を目指している息子の俊郎の単純さにはがっかり。
だからこその雪見という女性が妻として隣にいるのかもしれません。
俊郎が後遺症を持った後も隣に座る雪見。
それを見た勲が「強い子だな。」と思うのも納得です。
2人の違う強さを持つ女性がいる梶間家は安泰かもしれません。
こういう女性になりたいものだと思いました。

映画を観るときや小説を読むときのお供に!

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ゆめちゃんにっき5です。コーヒーよりもジュースよりもお茶。とにかくお茶が大好きです。私のお気に入りの美味しいお茶を種類別に紹介しています。煎茶、緑茶、ウーロン茶、紅茶、ジャスミンティー、プーアル茶など様々な紹介をしているので迷った時の参考にしてもらえたらうれしいです。

『火の粉』ドラマ情報

2005年2月19日に朝日放送の制作によりテレビドラマ化され、テレビ朝日系列「土曜ワイド劇場」にて放送されました。

そして、その後フジテレビ系列の東海テレビで深夜枠でありながら、連続ドラマとして全9回で放送されることに。

“心の奥に潜む狂気”をテーマにした心理サスペンスドラマでした。

火の粉ドラマ

キャスト紹介

  • 武内真伍(たけうち しんご)〈44〉(ユースケ・サンタマリア)
  • 用心のために飼い始めたというドーベルマンのレオと共に梶間家の隣に引っ越してきた男。

    3年前の東京都南調市の的場一家〇害事件の元被告人で、夫婦と6歳の息子を包丁で複数回刺して〇害した容疑で警察の取り調べを受け、一度は自供して起訴されたが、裁判で供述をひるがえした。

    自分も犯人に襲われて背中に傷を負ったと主張し、その傷が自分自身ではつけられないものだと認定されたことが無罪の決め手となり、裁判長だった勲によって無罪判決を言い渡された。

  • 梶間雪見(かじま ゆきみ)〈30〉(優香)
  • 梶間家の嫁。

    真っ先に武内の危険性に気付くと孤立しながらもなんとか家族を守ろうと奮闘する。

  • 梶間勲(かじま いさお)〈60〉(伊武雅刀)
  • 梶間家の家長で俊郎の父。

    裁判官として働いていたが、定年前に退官した。

    最後に担当した裁判の被告人でシ刑を求刑されていた武内が隣に引っ越してきて驚く。

  • 梶間尋恵(かじま ひろえ)〈58〉(朝加真由美)
  • 勲の妻で俊郎の母。

    雪見の手はわずらわせたくないという思いがあり、「手伝う」という申し出を断ってほぼ1人で姑である曜子の介護をしているが、そのせいで自分の母親を看取ることすらできなかった。

  • 梶間俊郎(かじま としろう)〈35〉(大倉孝二)
  • 雪見の夫で勲と尋恵の息子。

    就職活動中。

    武内の助言により弁護士を目指して司法試験の勉強を始める。

  • 梶間まどか〈5〉(庄野凛)
  • 雪見と俊郎の1人娘。武内になつく。

  • 梶間曜子(星野晶子)
  • 勲の母親。

    寝たきりのため介護が必要で、何かと尋恵を呼びつける。

    時々しか訪ねてこない娘の満喜子にはありがとう」という言葉もかける。

  • 相田満喜子(大島蓉子)
  • 曜子の娘。

    仕事のない週末に梶間家にやって来て、尋恵がちゃんと介護しているか確認し、曜子からおこづかいをもらって帰るのが常。

  • 佐々木琴音(ささき ことね)〈28〉(木南晴夏)
  • ドラマオリジナルキャラクター。
    雪見の親友。

    シングルマザーで、出戻りで親の和食屋を手伝っている。

    武内のことを次第に愛するようになり、武内と家族になろうとするが、武内の心が梶間家にしかないと知ると、羨望からやがて親友の雪見にすら憎しみを抱くようになる。

  • 佐々木陸〈2〉(中野遥斗)
  • 琴音の息子。

  • 池本亨(いけもと とおる)〈37〉(佐藤隆太)
  • 関東日報の寺西公平という記者を装って「武内は〇人犯です」と雪見に声をかけてきた男。

    その正体は3年前に武内が無罪判決を受けた的場一家〇人事件の被害者・的場久美子の兄だった。

  • 池本杏子(いけもと きょうこ)( 酒井若菜)
  • 亨の妻。

    夫の亨と同じく、武内に復讐するため、占い師を装って雪見に近づく。

  • 関孝之助(せき こうのすけ)〈40〉(迫田孝也)
  • 東京都豊花区に事務所をかまえる弁護士。

    的場一家〇人事件の裁判の際、武内を弁護した。

ドラマ相関図

相関図

ドラマ詳細

第1話 隣家に来た善意の〇人者!?

隣に引っ越してきた男。
善意の〇人者!?

第2話 家族に亀裂 次に狙われるのは!?

家族に亀裂 次に狙われるのは誰?

第3話 衝撃告白!?

いよいよ明かされる…善人の笑顔の裏側!!
絶対に知られたくない過去

第4話 全面対決 本当に悪いのは誰か…

誰もが試される 全面対決 本当に悪いのは誰か

第5話 そして、また一人消える…。

第6話 悪魔の恋?

第7話 説教部屋!? 私が教育します

第8話 反撃開始 切り札は”あの男”

急転直下 火花散る 因縁の男との対決が始まる。
身を粉に尽くす悪の決断。

最終話 最後の晩餐

悪の隣人vs幸せな家族
ついに悪魔が決断する!?

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