小説『ジャイロスコープ』伊坂幸太郎著|収録作品の紹介とあらすじ

ジャイロスコープサスペンス小説

小説『ジャイロスコープ』伊坂幸太郎著

2015年7月に発売された短編集です。

全7話収録されていて巻末には15周年インタビューも掲載されています。

収録作品のあらすじを紹介します。

伊坂作品の最初の楽しみはこちら。

表紙をめくると伊坂幸太郎作品ではおなじみの辞書で引いた言葉の意味が書かれています。

【gyroscope】
➀gyro
 1.輪、螺旋
 2.牛肉やラムをトマトと玉葱と一緒に平たいパンにのせたギリシャ風サンドイッチ
 3.ジャイロスコープの略称
 
 scope
 1.範囲、余地
 2.(複合語で)~を観察する機械

➁回転するコマを三つの輪で支え、自由に向きを変えられるようにした装置。
 応用により、物体のずれや揺れを防ぐ。
 また、外力から加えるとコマ独特の意外な振る舞いをすることから、転じて、軸を同じにしながら各々が驚きと意外性に満ちた個性豊かな短編小説集を指す。
※小説より引用

この辞書の部分が私はいつも楽しみです。



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あらすじ

小説

助言あり⍁。スーパーの駐車場にて“相談屋”を営む稲垣さんの下で働くことになった浜田青年。

人々のささいな相談事が、驚愕の結末に繋がる「浜田青年ホントスカ」。

バスジャック事件の“もし、あの時……”を描く「if」。

謎の生物が暴れる野心作「ギア」。

洒脱な会話、軽快な文体、そして独特のユーモアが詰まった七つの伊坂ワールド。

書下ろし短編「後ろの声がうるさい」収録。

収録作品紹介

浜田青年ホントスカ

駐車場
広大なスーパーの敷地に建てられたプレハブ。
看板には『助言あり⍁』。
家出した裕福な家の息子、浜田青年。
相談屋の稲垣さんは駐車場を歩く浜田青年に声をかけアルバイトを依頼します。
アルバイトの内容は1週間このプレハブから出ないこと。
奇妙な体系の稲垣さんと「本当っすか。」が口癖の浜田青年。
不思議な出会いは必然だった・・・?

ギア

バス
荒野を走るワゴン。
ワゴンに乗り合わせた人々。
ワゴンはひたすら荒野を走る。
それは「セミンゴ」から逃げているから。
細長い球体に手足が付いた巨大生物セミンゴ。
セミンゴは1匹見たら14匹は必ずいる。
不思議な生態を持つセミンゴから逃げ延びることはできるのか・・・。

二月下旬から三月上旬

日記
慈郎と坂本ジョン。
出会いは小学生のころ。
破天荒な男、坂本ジョンのおかげで数々の危険な目に遭ってきた慈郎。
それでも交流が途絶えることはなかった。
シを迎えた坂本ジョン。
そのシ因は意外にも・・・。
甥が見つけた坂本ジョンの日記。
日記は何冊かあったが、すべて二月下旬から三月上旬しか書かれていなかった。
慈郎はふと思い当たる。
そういえば坂本ジョンが連絡してくるのはすべてその時期だったな・・・。と。

if

後悔
もしも、あの時、ああしていればどうなったか、と想像する。
誰もが一度は考えたことがあるはず。
その「もしも、あの時」が再現できたなら?
その答えが見つかるかも・・・。

一人では無理がある

サンタ
林衿子は、その日電話の音で目が覚めた。
連絡してきたのは東京で暮らす娘。
ストーカーの男が家に来たという連絡だった。
無事に男を倒したという会話にほっとする衿子。
しかし、その陰にはある会社で働く人たちのおかげでもあった・・・。

彗星さんたち

新幹線
『常にベストを尽くせ。見る人は見ている。』
パウエルさんの本を愛読している鶴田さん。
話すことが苦手な二村が選んだ仕事は新幹線の清掃員。
そこで出会った厳しい指導官のような鶴田さん。
その鶴田さんが脳溢血で倒れてしまった。
チーム全員が慕われていた鶴田さんを心配する。
その日仕事が終わった休憩室で一人一人に起きたある出来事を話し合う。
それは鶴田さんの人生だったのではと想像する・・・。

後ろの声がうるさい

座席
新幹線の後ろから聞こえてくる会話。
いきなり隣に座ってきた若い男が話す生い立ちを聞く中年男。
つい気になって聞いてしまう。
記者だと話す若い男が席を立った時、男のカバンをあさる中年男を目撃してしまう。
この二人の関係は・・・?

一五年を振り返って伊坂幸太郎インタビュー

伊坂幸太郎
15周年を記念してのインタビュー。
一つ一つの掲載時の心境や状況を語られています。
また、収録作品以外の他の作品にも触れられており、伊坂幸太郎という作家の人柄に触れることができます。

感想ツイート

「凄い作家さんだと感じました。」と言われています。

「あー! となる感覚が面白かったです!!」と言われています。

「さすが伊坂幸太郎ワールド」と言われています。

感想まとめ

一つ一つのテイストが全然違っていて面白かったです。
インタビューを読んで初めてこの話それぞれが全く違う時期に書かれていたことに驚きました。

  • 「浜田青年ホントスカ」2014年12月
  • 「ギア」2006年4月
  • 「二月下旬から三月上旬」2014年6月
  • 「if」2015年夏
  • 「一人では無理がある」2014年12月
  • 「彗星さんたち」2013年10月
  • 「後ろの声がうるさい」(書き下ろし)2015年7月

最後の書き下ろし以外はそれぞれ違う雑誌に掲載されていて、テーマも決まっていたと言われています。
それを最後に全部の伏線回収するあたりが伊坂幸太郎ワールドで面白かったです。
私はこの中では「一人では無理がある」が一番好きです。
きれいな話というわけではなく、悲しさも恐怖もあったのですが、なのにほっこりしてしまうところがよかったです。
「ギア」はほんとに伊坂幸太郎作品?と思えるSF作品でしたが、本人もそういうものを全部やめたかったと言っていて納得しました。
それでも面白かったのには変わりありません。
1話1話が短いので隙間時間に読むには最適です。
お暇なときにでもぜひ!

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