『心が雨漏りする日には』中島らも|躁うつ人生「くたばれうつ病!」

心が雨漏りする日には小説

『心が雨漏りする日には』中島らも著

ほろほろ酔って庭に出てみる。
もう空が高い。
星がきれいだ。
目がよくなったので、星々がくっきりと見える。
何千万、何百万光年の光。
それに比べれば、おれ一人の人間が躁だうつだと騒いでいるのがほんとにちっぽけなことのように思える。(中略)
うつ病は確かに自〇に至る病ではあるけれど、予備知識があればそれは避けられる。
癌に比べれはちゃちな病気だ。
君もかすんだ目で星空を見ろ。
そして叫べ。「くたばれ、うつ病!」――――――(本文より)

※文庫本帯引用

心が雨漏りする日には

この本は2002年10月12日の初版されています。
私の手元にあるのは2003年1月20日に刷新されているのですが、それですでに第7版ということが驚きです。
当時はまだネットやスマホなどが普及していないので、本がまだまだ購入されていた時代。
それなのにこのスピードはベストセラーと言ってもいいのではないかと思います。
よくあるエッセイ本とは違い、著者である中島らもが患った躁鬱の闘病記です。
2022年現在でも躁うつ病に対する見方に変わりはなく、色あせていることはありません。

「心が雨漏りする日には」と躁うつ病のことを表現するあたり、さすがコピーライターだなぁと感じします。

うつ病・アルコール依存症・薬物依存症・躁転、様々な体験を面白おかしく書かれていて、躁鬱への知識豊富で読みやすいです。

同じ悩みを持つ人もそうでない人も読む価値ありの一冊。



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あらすじ内容

中島らも

”それ”は突然やってくる

・この息子にしてこの親父あり
・うつ病なんて無縁だと思ってた
・やっぱり今日も付き合い酒
・失業時代の「ヘルハウス」生活
・再就職、したはいいけど・・・

抗うつ剤でタリラリラン

・おれに「うつ」がやってきた
・初めての精神科体験
・おれを励まさないでくれ
・うつが治って「らも」誕生
・論よりクスリ

鬱の捲土重来

・飲んでは書いて、書いては飲む
・三十五歳寿命説
・今度のうつは手ごわいゾ
・悪魔が「△ね」と囁くんです
天使と悪魔
・ゆかいな入院仲間たち

曇り、のち突然、躁

・厄年は躁にご注意
・バリ島の尋常じゃない夜
・手に負えないおっさんと化す
・躁は治まったけれど・・・
・廃人半歩手前の世界
・担当医・Yのご乱心

躁はまだまだ止まらない

・きっかけは母の△だった
・高槻”迷子”事件その1
・高槻”迷子”事件その2
・高槻”迷子”事件その3
・高槻事件、その後

上手な心の飼い慣らし方

・医者との上手なつきあい方
・薬との上手なつきあい方
・「こころだって、からだです」
・心を包み込む毛布

予後は視界良好

・失禁と昏睡の日々
・最強のタッグチーム
中島らも妻
・蜜月の終わり
・くたばれ、うつ病

対談「うつ」との時間無制限一本勝負――中島らもVS芝伸太郎(精神科医)

中島らも経歴

中島らも

1952年4月3日生
2004年7月26日(52歳没)
兵庫県尼崎市出身。
名門進学校である灘中学校に8位の成績で入学。
大阪芸術大学放送学科卒。
1984年から10年間「朝日新聞」に連載の「明るい悩み相談室」で注目される。
96年夏、ロックバンド「PISS」結成。解散後、新バンド「らも&MOTHER’S BOYS」でヴォーカル・サイドギターを担当。
小説・エッセイ・脚本の執筆ほか、講演・ライブ活動・ラジオパーソナリティなど活動は多岐にわたりました。
92年「今夜、すべてのバーで」で第13回吉川英治文学新人賞、94年「ガダラの豚」で、第47回日本推理作家協会賞長編賞を受賞。
NHKでは、ドラマ愛の詩『浪花少年探偵団』、『世界わが心の旅「メキシコ・グアテマラの旅 中島らも」』ほかに出演しています。
NHK 人×物×録(https://www2.nhk.or.jp/)

対談動画

感想ツイート

「面白い本を残してくれてありがとう。」と言われています。

「本を閉じてタイトルをもう一度噛みしめた。」と言われています。

「こんな秀逸なタイトルなかなかない。」と言われています。

おすすめ書籍紹介

心が雨漏りする日には

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今夜、すべてのバーで

すべての酒飲みに捧げるアル中小説

「この調子で飲み続けたら、△にますよ、あなた」
それでも酒を断てず、緊急入院するはめになる小島容。
ユニークな患者たちとの会話や担当医師との対話、
ときおり訪れる、シラフで現実と対峙する憂鬱、
親友の妹が繰り出す激励の往復パンチ――
実体験をベースに、生と△のはざまで揺らぐ人々を描き、
吉川英治文学新人賞に輝いた著者の代表作が新装版になって再登場!

単行本

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感想まとめ

躁うつ病やアルコール依存症をこんなにも面白おかしく、描く人が他にはいない。
病気なので、悪いことではないとわかっていても、周りにかけてしまう迷惑を思えば罪悪感を感じてしまううつ病ですが、この本を読めば少し気が楽になると思います。
薬を飲むことも、こんな簡単に治るのなら薬を飲んだっていい!と言ってくれる安心さ。
破天荒な行動すらかっこよく感じさせてくれるのは今もこの人を超える人はいないのではないでしょうか。
それを受け止めていたかどうかはわからないですが、周りの人たちの温かさは中島らも先生の人柄のなせるわざなのだと思わざるを得ません。
わかりやすい本、読みやすい本をバカにするようなことを言う人もいますが、すべての人にわかりやすく言葉を選べる才能はすごいです。
小難しく、わかりにくい小説が頭のいい人の本だと言えないことがわかるはず。
読みやすいのに奥が深いのが中島らもの小説の特徴だと思います。
普通の人とは少し違った目線で答えてくれる「中島らもの明るい悩み相談室」はシリーズとしてたくさん出版されています。
同じ悩みがある人もない人も目からうろこの考え方がたくさん載っています。
誰かにアドバイスするときに役立つかもしれません。
小説にもおすすめが多すぎてもっと載せたかったのですが、くどくなりそうなので控えめにしました。

今春に「こどもの一生」が舞台化されるそうです。
いつまでも色あせない中島らも先生の世界感がたくさんの人に伝わるといち中島らもファンとしてはうれしい限りです。

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